
コラム
2023/03/31
【管理栄養士が伝える】発酵食品の健康効果
前回のコラムでは、発酵食品の魅力についてご紹介しました。
整腸作用や肥満予防、血圧降下のような健康効果にも注目されています。
今回は、発酵食品のもつ健康効果についてご紹介します。
納豆のビタミンKは、約90倍?!
麹菌や乳酸菌、納豆菌は、発酵する過程で様々な栄養成分を作り出します。
これらの栄養成分が、健康によい効果を与えていると考えられています。
例えば、納豆は大豆を納豆菌で発酵させて作られますが、納豆菌の働きでビタミンK2やビタミンB2などが作られます。
あくまでも目安量になりますが、同量のゆで大豆と納豆の栄養成分を比較してみると、納豆は、ゆで大豆に対して、ビタミンKは約90倍、ビタミンB2は7倍多く含んでいることが分かります。
ビタミンKは、カルシウムと一緒にとることで吸収率が上がり、丈夫な骨の形成を助けます。成長期の子供や骨粗しょう症が気になる高齢者や女性には、納豆を毎日食べる事は、特におすすめです。
発酵食品の健康効果
1. 整腸作用
乳酸菌や納豆菌は、プロバイオティクスとして働きます。
腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らして、便秘の改善などが期待できます。
最近では、加熱などにより死滅してしまった乳酸菌も腸内でよい働きをすることが分かっています。
2. 免疫力を高める
乳酸菌は、病原菌に対して働くIgAの産生を高めます。数週間、乳酸菌を摂取することでインフルエンザの感染率の低下などが報告されています。
3. アレルギーを改善する
乳酸菌は、アレルギーのリスクファクターとなる抗原(花粉症の場合は、花粉)に反応して炎症物質を放出するIgE抗体の生産を抑制することが分かっています。
花粉症や通年性鼻炎の改善、アトピー性皮膚炎の改善効果などが報告されています。
4. 血圧を低下させる
麹菌から作られるペプチドには、血圧を低下させる効果があります。
味噌や醤油には、血圧上昇に関わる塩分も含まれますので、カリウムが摂れる野菜などと一緒にとる事がおすすめです。
5. 内臓脂肪減少効果
乳酸菌の一種であるLactobacillus gasseri(ガセリ菌)には、脂肪減少効果が報告されています。これは、乳酸菌を摂ることで脂肪の排泄を促し、食事由来の脂肪の吸収を抑制し、脂肪を体外へ排出することで、内臓脂肪が低減すると考えられています。
また、発酵食品に含まれるグルタミン酸やヒスチジンなどのアミノ酸には、肥満を予防する効果も報告されています。
まとめ
今回ご紹介した発酵食品のもつ健康効果は、ごく一部でまだまだ期待できる効果がたくさんあります。健康だけでなく美容効果など、複数の発酵食品を上手にとりいれることで、その効果を発揮しやすくなります。
また、製造方法や食べ方によってもその効果が変わります。
自分に合ったものを見つけるのも楽しみですね。
管理栄養士・松岡 喜美子
\「発酵食品」についてはこちらの記事も♪/
<参考>
・山本直行 乳酸菌発酵と食品 発酵の化学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakyoshi/67/12/67_588/_pdf/-char/ja
・河 野 一 世 柴 田 英 之 日本食からみる発酵食品の多様性と日本人の健康―肥満を中心に、日本調理科学会誌 Vol. 43,No. 2,131~135(2010)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/43/2/43_131/_pdf
・細井 知弘 Probioticとしての納豆菌の作用
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/98/12/98_12_830/_pdf/-char/ja
・五明紀春監修 女子栄養大学の発酵食のすべて (株式会社エクスナレッジ、2018年)