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2023/02/24

【管理栄養士が伝える】発酵食品の魅力


最近、健康志向の高まりとともに「発酵食品」が注目されつつあります。
「発酵食品」は、私たちにとってとても身近なもので、毎日必ずと言っていいほど取り入れているものでもあります。
そんな「発酵食品」について改めて考えてみましょう。

 

 

身近な発酵食品

発酵食品と言えば何が思い浮かびますか?
味噌や納豆、ヨーグルトなどを真っ先に思い浮かべるかもしれません。

以下に、身近な発酵食品を一覧にしました。
種類も様々で、もしも発酵食品がなければ、私たちの食生活は味気なく、とても寂しいものになるでしょう。

 

発酵食品をつくる5大微生物

発酵食品とは、食材を微生物の作用で発酵させた食品のことです。
その微生物とは、「かび」「細菌」「酵母菌」です。

中でも、「乳酸菌」「麹菌」「酢酸菌」「酵母菌」「納豆菌」の5つの微生物が代表的で、日常的に摂り入れている発酵食品の多くがこれらの微生物によって作られています。

 

「発酵」と「腐敗」は人間が決めている

「発酵」とは、微生物が食品中に増えることによって起こる変化のことをいいます。
この変化が、人間にとって有益であれば「発酵」といいますが、人間にとって有害であれば「腐敗」になります。

微生物が食品中に増えて食品に変化を起こす過程は、「発酵」も「腐敗」も同じなのです。
食品が「発酵」すると、食材の元の味やにおいをより深みのある味やにおいに変え、食品の品質が向上します。
一方、「腐敗」すると、アンモニアやアミンのような人間にとって不快なにおいに変え、食べられない状態にしてしまいます。

 

 

発酵食品の魅力と5大微生物の働き

発酵食品の魅力は、なんといっても美味しさと健康によい面を併せ持っている点でしょう。
さらに、保存性を高めたり、料理の幅を広げたりとその役割は多様です。

 

麹菌」は、発酵の過程で糖分やアミノ酸を作り出します。
このため、麹菌でできた発酵食品には、独特の「甘味」と「旨み」が生まれます。麹調味料に漬けた肉や魚、野菜は、それだけで味に深みが出たり、食感が柔らかくなって食べやすくなるのは、まさに「麹菌」によって食材が「発酵」しているからなのです。

 

乳酸菌」は、食品中のぶどう糖や乳糖を分解し、乳酸を作り出します。
これが、5つの基本味「甘味、塩味、酸味、苦味、旨み」の内の酸味になります。
ヨーグルトの酸味は、「発酵」の証です。

 

酢酸菌」は、アルコールを酢酸に変える微生物です。
酢は、米やリンゴ、ワインなどの原料に麹を入れ、アルコール発酵させて醪(もろみ)を作り、「酢酸菌」を入れて発酵させることで作られます。

 

納豆菌」は、稲わらに棲む枯草菌の一種で、加熱した大豆に加えて発酵させるとたんぱく質を分解し、アミノ酸やビタミンを生成し、糸を引く納豆ができます。
納豆は、ビタミンKを豊富に含む食品として知られていますが、これも「納豆菌」の発酵によるものです。

 

酵母菌」は、ブドウ糖をアルコールと炭酸ガスに分解する微生物です。
ビールやワイン、日本酒のようなお酒は、この変化を利用して作られています。
パンを作る際に使う酵母菌(イースト)は、ブドウ糖を分解してできた二酸化炭素が加熱により膨張して膨らみます。

 

このように、私たちの身近にある発酵食品は、これらの複数の微生物を組み合わせて作られ、美味しさや健康面に貢献しています。

 

 

まとめ

最近、改めて注目されている「発酵食品」ですが、どのように作られているのか、食品中でどんな変化が起こっているのかについてご紹介しました。
健康への効果も、最近明らかになりつつあります。
次回は、健康への効果についてもう少し詳しくご紹介します。

 

管理栄養士・松岡 喜美子

 

<参考>
・農林水産省HP 「発酵」の不思議
 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2211/spe1_01.html

・「発酵」のことが一冊でまるごとわかる 齋藤 勝裕著 ベレ出版(2019年)




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