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2021/03/17

【管理栄養士が提案!】雑食vs菜食 たんぱく質は何から摂るのが正解か?


「野菜をしっかり食べましょう」
栄養指導でよく使う言葉ですよね。「健康日本21」では、1日350g以上の野菜摂取が推奨されています。
一方で、令和元年国民健康・栄養調査によると平均摂取量は280.5g/日と不足しているのが現状です。

では、菜食主義の方を栄養指導する場合、どのようなアドバイスをしますか?
一番に思い浮かぶのは、「たんぱく質は足りているのか?」ということではないでしょうか。

今回は、菜食主義という立場から「たんぱく質」について考えたいと思います。

 

雑食 vs ペスカタリアン vs ベジタリアン vs ヴィーガン 栄養摂取量を比較する

【雑食】制限なく肉も魚も何でも食べる人

摂取エネルギー:1979±536kcal/日、
カルシウム:1005±314㎎/日
たんぱく質:84g/日

【ペスカタリアン】魚は食べるが肉は食べない菜食主義の人

摂取エネルギー:1896±527kcal/日
カルシウム:1033±349㎎/日
たんぱく質:66.4g/日

【ベジタリアン】肉と魚は食べないが、卵や乳製品は食べる人

摂取エネルギー:1879±529kcal/日
カルシウム:1030±369㎎/日
たんぱく質:63.9g/日

【ヴィーガン】肉、魚、卵、乳製品を食べない完全菜食主義の人

摂取エネルギー:1754±553kcal
カルシウム:591±237㎎/日
たんぱく質:58.3g/日

※たんぱく質:中間値(いずれも)

日本人の平均栄養摂取量と比較する

摂取エネルギー:1903kcal/日
カルシウム:505㎎/日
たんぱく質:71.4g/日

※令和元年国民健康・栄養調査より抜粋

 

日本人のたんぱく質摂取量は、71.4g/日となっており、このうち動物性として摂取しているのは、40.1gと半分以上です。

上述より、雑食に比べてペスカタリアン、ベジタリアン、ヴィーガンは、たんぱく質の摂取量は少ない傾向にあります。
このことからも、動物性は、効率的なたんぱく源といえますが、これらを食べない菜食主義は、「大豆」はもちろん、野菜に含まれるたんぱく質も重要なたんぱく源になります。

 

動物性 vs 植物性 100kcalに含まれるたんぱく質を比較する

動物性:普通牛乳 約150g(たんぱく質 約5g)
 VS
植物性:ブロッコリーゆで 約150g(たんぱく質 約6g)

 

「たんぱく質を摂るために牛乳を飲みましょう」と指導することはよくありますが、意外にも100kcal相当量で比較すると、ブロッコリー5~6房で、牛乳に匹敵する量のたんぱく質が摂れます。
また、ブロッコリーは、低脂肪で、たんぱく質代謝に必要なビタミンB6も豊富です。

食事指導の際、欧米化した食事やコロナ禍での環境変化により、20kg以上体重が増加された方にも出会います。
減量が必要だけど、食欲旺盛でコントロールが難しい方は、以下の表を参考に、カロリーも気にしながらたんぱく源を組み立ててみてはいかがでしょうか?

 

★動物性★

※100kcal当たり

 

★植物性★

※100kcal当たり

まとめ

たんぱく質の摂取量が少ないことは、骨折リスクを上げる事も示唆されています。菜食主義は、たんぱく質が不足しがちです。
上記の表を見ると、大豆製品を中心に、ナッツやゴマ、ブロッコリーやたけのこ、ほうれん草などを含む350g以上の野菜を組み合わせることで、たんぱく質も補えます。

それぞれの価値観に合わせて、食のエキスパートである管理栄養士・栄養士しか出来ないアドバイスを目指したいですね。

 

管理栄養士・松岡 喜美子

 

≪参考≫
 Vegetarian and vegan diets and risks of total and site-specific fractures: results from the prospective EPIC-Oxford study | BMC Medicine | Full Text (biomedcentral.com)




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