コラム
2021/04/12
【管理栄養士が提案!】動物性vs植物性 良質なたんぱく質とは?
動物性 vs 植物性 牛乳と豆乳をアミノ酸から比較する
プロテインブームの到来とともに、「ホエイ(乳)」か「ソイ(大豆)」か、という話題にも注目が集まりました。
実際に、動物性たんぱく「牛乳」と植物性たんぱく「豆乳」は、なにが違うのか。今回は、その違いについてアミノ酸を中心にご紹介します。
「良質のたんぱく質」は、アミノ酸スコアで決まる
アミノ酸とは、たんぱく質を構成する成分で、通常20種類あります。その内、体内で合成できないアミノ酸を「不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)」といい、これらの内、どれか1つでも不足すると、たんぱく質は合成されません。
不足するアミノ酸を「制限アミノ酸」と言い、制限アミノ酸がないものを「アミノ酸スコア100」と言います。アミノ酸スコア100に近いものが「良質なたんぱく質」と言えます。
★必須アミノ酸は、以下9種類★
バリン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン、トレオニン
動物性「牛乳」 vs 植物性「豆乳」 必須アミノ酸を比較する
2007年に改訂された※アミノ酸評価パターンから算出されるアミノ酸スコアは、「牛乳」「豆乳」ともに100となっており、どちらも「良質なたんぱく質」と言えます。
※アミノ酸評価パターン:WHO/FAO/UNUから報告された「不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)」の必要量
※100g中
上記の表から、豆乳は、低カロリーでビタミンB6の含有量が多く、牛乳は、高カロリーで、必須アミノ酸含有量が多い特徴があります。
体重50kgの1日の必要量を基準とした場合、どちらも100gの摂取で約10~20%程度補えます。(※豆乳の場合メチオニンのみ7%)
注目のアミノ酸は「ロイシン」
最近、特に注目されているのが「ロイシン」です。必須アミノ酸の内、「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」を分岐鎖アミノ酸(BCAA)といい、中でも、「ロイシン」は、筋たんぱく質合成の鍵となります。
例えば、必須アミノ酸摂取量の内、ロイシンの含有量(%)が高い方が、筋たんぱく合成効果も高いと言われています。
ちなみに、「牛乳」と「豆乳」を単独で摂る場合、必須アミノ酸全体量に対するロイシンの含有量(%)は、「牛乳:22%」「豆乳:20%」です。
アミノ酸代謝に欠かせないビタミンB6
アミノ酸が代謝に欠かせないのが、ビタミンB6です。その為、ビタミンB6の必要量は、たんぱく質の摂取量に応じて決まります。
摂取量の目安は、以下の計算式で算出できます。
推定平均必要量(㎎):たんぱく摂取量(g)×0.019㎎
推奨量:たんぱく摂取量(g)×0.023㎎
例:1日に60gのたんぱく質を摂取する場合
推定平均必要量(㎎):60g×0.019㎎=1.14㎎
推奨量(㎎):60g×0.023㎎=1.38㎎
※日本人の食事摂取基準2020年版では、「推定平均必要量:1.1㎎」、「推奨量:1.4㎎」(18歳以上、男性)となっています。
まとめ
手軽に摂れるたんぱく源である「牛乳」と「豆乳」は、どちらも「アミノ酸スコア100」である良質なたんぱく質です。
必須アミノ酸の内、一つでも不足すると、筋たんぱくは合成されません。
「牛乳」は、筋たんぱく合成の鍵となる「ロイシン」を多く含みますが、高カロリーです。
「豆乳」は、低カロリーでビタミンB6を多く含みます。
例えば、カツオやマグロ、鶏のささみ、ブロッコリーは、「ロイシン」や「ビタミンB6」が豊富です。不足するアミノ酸や栄養素は、これらの食品と組み合わせると補う事が出来ます。
それぞれの特徴を理解し、対象者に合わせて選択できる管理栄養士・栄養士を目指しましょう。
管理栄養士・松岡 喜美子
★関連コラム「タンパク質は何から摂るのが正解か?」はこちらから♪
https://nutriworks.jp/post/columns/535
≪参考≫
・日本食品標準成分表 2015年版(七訂) アミノ酸成分表編
・新カラーチャートアミノ酸成分表 https://www.kyoiku-tosho.co.jp/data/correct/teisei_colorchart.pdf