コラム
2020/06/04
【管理栄養士が語る!】新型栄養失調に注意!3食食べるだけではダメな理由~後編~
前回新型栄養失調とは、というお話を紹介させていただきました。見た目だけでは判断できない…というお話をしましたね。
今回、後編では新型栄養失調にならないために摂るべき栄養素・食品・食べ方についてご紹介します。
新型栄養失調にならないために摂るべき栄養素
平成30年国民健康・栄養調査より、不足しがちな栄養素は以下の通りです。
<ビタミン>
- ビタミンB₁
■推定平均必要量:男性1.1~1.2mg、女性0.9mgに対し、平均摂取量は、男性1.0mg、女性0.85mg
■はたらき:糖質をエネルギーに変える際やアルコールを分解する際に使われます。糖質をたくさんとる方やアルコールをよく飲む方は不足しやすい栄養素です。
■欠乏症:脚気、ウェルニッケ─コルサコフ症候群不足すると、疲労感、倦怠感、筋肉痛、イライラ、集中力の低下、記憶力の低下、むくみ、肩こり、腰痛、息切れ、しびれなどの症状が出る場合があります。 - ビタミンD
■推定平均必要量:1日の目安量8.5㎍(男女)に対し、平均摂取量は、男性7.3㎍、女性6.7㎍
■はたらき:小腸や肝臓でのカルシウムやリンの吸収率を高め、骨の成長を促進します。
■欠乏症:小児/くる病 成人/骨軟化症
■過剰症:高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化不足すると、骨粗しょう症や骨折リスクが上がると言われています。特に高齢者ではビタミンD不足の状態が長く続く事で起こりやすくなります。
■注意点:耐用上限量は100㎍。サプリメントから摂取する場合は、上限量に注意する必要があります。
<ミネラル>
- カルシウム
■推定平均必要量:男性600~650mg、女性550mgに対し、平均摂取量は、男性504mg、女性500mg
■はたらき:体重の1~2%を占め、その 99% は骨や歯に存在しています。
■欠乏症:骨粗鬆症、高血圧、動脈硬化
■注意点:耐用上限量は2500mg。
<食物繊維>
- 食物繊維
■目標量:男性21g、女性18gに対し、平均摂取量は、男性15.3g、女性14.7g
■理想は24g/日以上の摂取が望ましいと言われており、男女とも、大きく不足しています。
■はたらき:上述の通りです。
※平均摂取量:平成30年年国民健康・栄養調査20歳以上平均摂取量
※日本人の食事摂取基準2020年版を基に比較しています。
新型栄養失調にならないおすすめ食品と食べ方
ビタミンB₁
- うなぎの蒲焼(0.75mg/100g)
- 豚ヒレ肉(1.32mg/100g)
- カシューナッツ(0.11mg/20g)
- えのきだけ(0.24mg/100g)
☆白米を玄米に変える
⇒白米0.03mg⇒玄米0.24mg/ご飯1膳(150g)
☆にらやにんにく、ねぎなど「アリシン」を含む食品と一緒に摂る
☆水溶性のため、豚肉の調理は「焼き」や「炒め」がおすすめ
ビタミンD
- まいたけ(4.9㎍/100g)
- きくらげ(4.3㎍/5g・乾燥)
- 紅鮭(33.0㎍/100g・生)
- しらす干し(4.6㎍/10g・微乾燥)
☆しいたけは調理前に天日干しにすると含有量アップ
カルシウム
- 牛乳(220mg/約200ml)
- 小松菜(170mg/100g・生)
- 切り干し大根(50mg/10g)
- しらす干し(21mg/10g・微乾燥)
- 木綿豆腐(93mg/100g)
☆ビタミンDと一緒に摂ると吸収率アップ
☆ほうれん草は、茹でてお浸しにすると、カルシウムの吸収を妨げるシュウ酸を約半分に減らせます。
食物繊維
- さつまいも(2.3g/100g・蒸し)
- 板こんにゃく(2.2g/100g・1/3枚)
- かぼちゃ(4.1g/100g・ゆで)
- 納豆(3.4g/50g・1パック)
- きくらげ(2.9g/5g・乾燥)
- 切り干し大根(2.1g/10g)
☆皮ごと食べる
- りんご皮なし1.4g⇒りんご皮つき1.9g(3~4切れ100g)
- さつまいも皮なし2.3g⇒さつまいも皮つき3.8g(蒸し・100g)
☆果物はジュースよりも果実を食べる
- みかんジュース0g⇒みかん0.7g(中1個100g)
まとめ
新型栄養失調を予防し、健康を維持するために必要な栄養素が不足しないよう、バランスのよい食事を心がける事が一番の予防策です。
「ま(豆類)ご(ごま)た(卵)ち(乳製品)は(海藻)や(野菜)さ(魚)し(きのこ)い(いも類)」を心がけると、食べる食品数を増やすことにつながり、バランスよく多くの栄養素をとる事ができます。
また、いつもの食事に前項に紹介した食品を取り入れたりプラスしたりするだけで、不足しがちな栄養素を補う事が出来ます。どうしてもバランスのよい食事がとれない時は、サプリメントを活用することもおすすめです。食事は、薬とは違い、効果を実感しにくい面があります。
管理栄養士・栄養士として、対象者に足りない栄養素、おすすめの食品や食べ方を具体的にアドバイスできると、より効果を実感してもらえるかもしれません。
管理栄養士・松岡 喜美子
≪前編≫
https://nutriworks.jp/post/columns/344
≪参考資料≫
国立健康・栄養研究所 栄養素等摂取
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html
厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
厚生労働省 日本人の食事摂取基準 各論
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html