コラム
2020/05/29
【管理栄養士が語る!】新型栄養失調に注意!3食食べるだけではダメな理由~前編~
「疲れがとれない」「眠れない」「集中出来ない」「肌荒れ」「風邪をひきやすい」
そんな症状を感じたら、もしかすると「新型栄養失調」かもしれません。
一般的に栄養失調とは、必要なエネルギーや栄養素が不足し、健康状態に異常が出る状態をいいます。代表的な症状の一つに「クワシオルコル」や「マラスムス」が挙げられます。
- クワシオルコル:主にたんぱく質不足が原因で起こり、脂肪肝や腹水、浮腫が見られます。
- マラスムス:主にエネルギー不足が原因で起こり、顕著な体重減少が見られます。
飽食時代を迎えた日本では、上記のような栄養失調はあまり見られなくなりましたが、今「新型栄養失調」が増えつつあります。今回は、現代病の一つとも言える「新型栄養失調」についてご2回に分けて紹介します。
新型栄養失調って何?
新型栄養失調とは、エネルギーは足りているのに、ビタミン、ミネラル、食物繊維など健康を維持するために必要な栄養素が不足した状態を言います。
エネルギーが不足していない場合も含まれるので、見た目だけでは判断出来ません。
<不足しがちな栄養素のはたらき>
- ビタミン:3大栄養素である「糖質」「脂質」「たんぱく質」の代謝をサポートし、新陳代謝を促進し、身体の調子を整えます。体内で合成されないか、合成されても量が不十分なため、必ず食事からとる必要があります。
- ミネラル:カルシウムが骨の材料となるように、身体の構成成分になったり、酵素や補酵素の成分となり代謝を高めたり、神経伝達に働きます。ミネラルは体内で合成されないため、食事からとる必要があります。
- 食物繊維:食物中に含まれているヒトの消化酵素では消化されない物質のこと。血糖値の上昇を抑制したり、コレステロールの吸収を抑制したりするなど、生活習慣病予防効果が注目されています。また、腸内環境を整え、便通を改善する効果も期待されています。
新型栄養失調になりやすい食生活とは?
食べる食品数が少ないと、食事からとれる栄養素も限られてしまいます。
- 食べないダイエット、○○ダイエットなど、偏ったダイエットをしている
- 食事は、簡単に済ませる
- 好き嫌いが多い
- お腹が満たされれば食べるものは何でもいい
上記のような、食習慣がある方は要注意です。
「3食バランスよく食べましょう」
子供の頃から何度も耳にしてきた言葉ですよね。「バランスのよい食事」は、とても幅広く解釈出来ます。日本では、【日本人の食事摂取基準】や【食事バランスガイド】が目安になります。
厚生労働省 日本人の食事摂取基準
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
農林水産省 食事バランスガイド
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/
平成30年国民健康・栄養調査の結果によると、「主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の頻度が1日2回以上あるのは週に何日ありますか」という質問に対して、「毎日」と回答したのは、男性45.4%、女性49.0%と半分以下となっています。
経済面、嗜好、生活環境により、主食、主菜、副菜がそろったバランスのよい食事が摂れている人は、かなり少ないという事が分かります。
さてここまでいかがでしたでしょうか。次回は、新型栄養失調にならないために摂るべき栄養素・食品・食べ方についてご紹介します。
管理栄養士・松岡 喜美子
≪後編はこちらから≫
https://nutriworks.jp/post/columns/347
≪参考資料≫
国立健康・栄養研究所 栄養素等摂取量
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/kenkounippon21/eiyouchousa/keinen_henka_eiyou.html
厚生労働省 e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
厚生労働省 日本人の食事摂取基準 各論
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html