コラム
2020/06/18
【管理栄養士が解説!】加工食品の「原料原産地表示制度」とは?
食品表示法の食品表示基準によって定められた、新しい食品表示への猶予期間が2020年3月に終了しました。
4月からは完全移行となり、管理栄養士・栄養士の皆さんもそろそろ新しい表示方法に見慣れてきた頃かと思います。
しかし実は、新しい食品表示はまだ完結していません。2017年9月に食品表示法に基づく食品表示基準の一部を改正するという形で、新たに「原料原産地表示制度」が追加されました。
この制度は国内で製造されたすべての加工食品が対象となっています。ただし2022年3月末までが事業者(食品メーカー等)のための猶予期間となっているため、原料原産地表示がなされた商品は現段階ではあまり多くはありません。
今回はこの「原料原産地表示制度」について確認していきましょう。
「原料原産地」と「原産国名」の違いについて
今回本コラムで取り上げる「原料原産地」とは、国内製造の加工食品に使用された原材料の原産地についてです。
重量が1番重い原材料、つまり1番多く使用されている原材料について産地を表示することが義務となりました。2番目以降の原材料については義務ではありませんが、国は事業者に対し「表示をすることが望ましい」との考えを示しています。
従来、海外で製造され、輸入した加工食品には「原産国名」を表示することが義務となっていました。このルールは以前はJAS法によって定められていましたが、現在は食品表示法に引き継がれています。
ただし輸入品は「原料原産地表示制度」の対象ではないことから、原材料の原産地の記載は義務ではありません。
原料原産地表示制度の主なルール
① 1番多い原材料が生鮮食品の場合、その産地を表示する
- 原材料のすぐ後ろにカッコ書きで産地の国名を表記
- 2か国以上の産地の原料を使用している場合、多い順に国名を表示
- 3か国以上の場合は多い順に2か国を記載し、3か国目以降は「その他」と括ることも可能
<例> 原材料名:小麦粉(A国、B国、その他)
② 1番多い原材料が加工食品の場合、その製造地を表示する
- 原材料のすぐ後ろにカッコ書きで製造地の国名を表記
- 複数国の場合は生鮮食品の場合のルールと同様
<例> 原材料名:チョコレート(A国製造)
- 1番多い原材料に使われた生鮮食品の産地が分かる場合は、製造地の代わりにその産地を表示する場合もある
<例>
原材料名:チョコレート、小麦粉、…
原料原産地名:B国(カカオ豆)、C国(カカオ豆)
※1番多い原材料であるチョコレートに使われているカカオ豆の産地はB国とC国であり、B国産の方が多く含まれている。
まとめ
原料原産地の表示方法について、上記の基本のルールのほか、
- 複数国にまたがる場合、過去実績によって「A国又はB国」と記載する
- 国産は含まず外国の産地が3か国以上の場合、「輸入」と括ることができる
等の細かなルールもあります。詳しくは参考資料をご覧ください。
食品表示法は消費者向けだけでなく、事業者向けの情報も読み解くことで食品業界を広く見つめることができます。
管理栄養士・栄養士の皆さんはぜひチェックしてみてください。
管理栄養士・中級食品表示診断士 栗城智子
《参考資料》
・消費者庁ホームページ 新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/
・消費者庁ホームページ 原料原産地表示制度 消費者向けQ&A
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/qa/
・消費者庁PDF資料「全ての加工食品の原材料の産地が表示されます!」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/pdf/country_of_origin_190517_0001.pdf
・東京都福祉保健局 食品衛生の窓 「一般用加工食品(原産国名)」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_kakou_countryoforigin.html