Column コラム

ホーム  > コラム  > グルテンフリーダイエットは、全ての人に有効か ~前編~

コラム

2021/05/13

グルテンフリーダイエットは、全ての人に有効か ~前編~


 

現在、容器包装された加工食品には、アレルギー表示が義務付けられています。
表示義務があるのは、「卵・乳・小麦・えび・かに・落花生・そば」の7品目。

これらのアレルゲンを含まない食品に、よく「○○フリー」という言葉が使ってありますが、その中でも、グルテンフリーという言葉は、ダイエット法や健康法としても話題になるなど、注目を集めました。

 

一方で、グルテンフリーダイエットは誰にでも有効な手段なのでしょうか?
今回は、グルテンフリーについて2回にわたって詳しくご紹介します。

 

グルテンフリーは、なぜ注目されたのか

小麦には、水溶性の「アルブミン」「グロブリン」と不溶性の「グリアジン」「グルテニン」の主に4種類のたんぱく質が含まれています。
「グルテン」とは、不溶性のたんぱく質「グリアジン」と「グルテニン」が結合して出来るたんぱく質の事です。小麦粉に水を混ぜてこねると、弾力や粘性のある生地が出来ます。

 

これがまさに「グルテン」そのものですが、一部の人には、このグルテンを消化・吸収する酵素が備わっておらず、小麦製品を摂ることで、嘔吐や下痢、めまい、うつ症状などの不調が現れることがあります。
このような人が、グルテンフリーの生活に変えると、これまで原因不明だった不調から解放され、体調が改善します。

 

体調がよくなることで、活動量が増えたり、自炊をするようになったりと様々な好循環が生まれ、減量にも成功できたという声がメディアなどを通じて発信され、多くの方に取り入れられるようになりました。

 

グルテンフリーが必要な3つの体質

●セリアック病(CD: celiac disease)

グルテンに対して、異常な免疫反応が生じ、小腸粘膜を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患の一つ。
セリアック病の患者が、グルテンを摂取すると、小腸から栄養を吸収できなくなり、栄養失調に至る場合があるため、完全にグルテンを除去する必要があります。

 

●グルテン不耐症(グルテン過敏症)

グルテンを摂取した後、適切に消化・吸収されず、消化不良や腹痛、下痢や嘔吐が起こる体質を言います。
グルテンの消化に必要な酵素(プロテアーゼ、エンドペプチダーゼ)がないことなどが原因として考えられています。

 

●小麦アレルギー(グルテン反応性)

「グルテンフリー=小麦アレルギー向け」と思いがちですが、小麦アレルギーは、グルテンのみに反応して起こるわけではありません。
上述の4種類のたんぱく質のうち、グルテンフリーは、グルテンに反応する小麦アレルギー向けということになります。

 

グルテンフリーの食品

基本的には、小麦、大麦、ライ麦を使用した食品や加工品以外は食べられます。

主食:米、ひえ、あわ、きび、たかきびなどの雑穀類、米粉、そば、ビーフン、フォー
主菜:肉、魚、卵、大豆・大豆製品、乳製品
副菜:野菜、果物、豆類、ナッツ類、種実類
調味料:オリーブオイル、こめ油、ごま油、キャノーラ油、米酢

 

自炊する場合は、以下のような工夫でグルテンフリーにできます。

  • つなぎとしての小麦粉⇒豆腐、おからパウダー、片栗粉など
  • うどん、ラーメン、パスタ、パン⇒米粉パン、ご飯、ビーフン、フォーなど
  • 衣としての小麦粉⇒米粉、ごま、あられなど

 

「グルテンフリー」と書かれた商品も多く出回るようになり、食のバリアフリー化が進んでいます。より安全に、簡単に選択しやすくなっています。

 

一方、こんな食品にもグルテンは含まれていますので、原材料をよく確認するようにしましょう。

  • ビール、麦焼酎、ウォッカなどのアルコール類
  • 醤油、ドレッシング、麦味噌、穀物酢、料理酒(穀物使用)などの調味料
  • 麦茶
  • カレーやシチューのルウ
  • 加工品に使われている添加物   など

ビールには、麦芽が原材料として使われています。第3のビールには、麦芽を使用していないものもありますので、製品上、グルテンフリーと言えるでしょう。
その他、しょうゆやドレッシングなどの調味料にもグルテンが含まれています。原材料に「穀物」と書かれてあると要注意です。
米粉を使用した商品であっても、小麦粉が使われている場合があります。必ず原材料を確認しましょう。

 

まとめ

アレルギーの場合、少量であれば問題ない場合もありますが、セリアック病は、少量でも命に関わります。
管理栄養士・栄養士として、適切にアドバイスが出来るよう、これらの食品や病気についての知識も身につけておきたいですね。

 

前編では、グルテンフリーの基礎についてご紹介しました。
後編では、いよいよダイエット効果について、検証していきます。

管理栄養士・松岡 喜美子

≪参考≫
 食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017 (foodallergy.jp)




CATEGORY


ARCHIVE


TOP