コラム
2021/05/27
グルテンフリーダイエットは、全ての人に有効か ~後編~
前編では、グルテンフリーの基礎について紹介しました。
グルテンフリーの生活に変えることで、体調が改善する人やダイエットに成功する人がいます。
それは、グルテンフリーによる直接的な効果なのでしょうか?
後編では、グルテンフリーダイエットについて検証します。
★前編はこちらから♪
小麦粉 vs 米粉 カロリーを比較する
「グルテンフリー」は、ダイエット法としても話題になりましたが、グルテンを除去した食事で必ずしもダイエットが成功するというわけではありません。
以下の表に、代表的な小麦粉を使用した食品と米粉を使用した食品を比較しました。
※100g中
カロリーは、どちらも大きく変わりません。
米粉使用の食品(グルテンフリー)は、たんぱく質が少なく、炭水化物が多い傾向があります。
元々、グルテンを含む食品は、ピザやクリームなどの欧米食が多く、料理単位で見ると脂質が高くなりがちです。
前編でお伝えした3つの体質に当てはまらない人が、グルテンフリーに変えてダイエットに成功するのは、高カロリー・高脂肪食品を摂る機会が減り、必然的に摂取カロリーが減ることの効果が大きいと言えます。
例えば、毎日菓子パンをおやつに食べていた人が、米粉を使った菓子パン(摂取カロリー同じ)に変えたとしても、それだけでは体重は落ちないでしょう。
グルテンは血糖値をあげるのか
一部、「グルテンは砂糖よりも血糖値をあげる」といった記事を見かけます。
これについては、エビデンスは少なく、はっきりと言い切ることはできないでしょう。
例えば、GI値(グリセミックインデックス)を比較してみましょう。
※シドニー大学 Glycemic Index
上記の表より、白パンは砂糖とGI値がほとんど変わりません。
一方、グルテンフリーのパンや、もち米、おかゆ、せんべいは、どれも砂糖よりもGI値が高い結果となっています。
小麦粉100g中には、血糖値を上げるでんぷんが、72.7g含まれます(薄力粉1級)。
グルテンが血糖値を上げているのではなく、小麦粉に含まれるでんぷんが血糖値をあげているのだと推測できます。
まとめ
グルテンフリーにより体調が改善したり、ダイエットに成功する場合があります。
もし、対象者がグルテンフリーを取り入れる場合、それが効果的なのか管理栄養士・栄養士が専門的にアセスメントしなければいけません。
グルテンフリーと書かれた商品が多く出回り、食のバリアフリー化は進んでいますが、添加物の摂取量が増える可能性や食物繊維などの栄養不足を起こす可能性など、デメリットもあります。
グルテンフリーが、対象者にとってよい選択肢となるのか、専門的に寄り添える管理栄養士・栄養士でありたいですね。
管理栄養士・松岡 喜美子
★GI値についてはこちらもチェック♪
≪参考≫
・食事のGIおよびGLと糖尿病発症のリスクとの関連について | 現在までの成果 | 多目的コホート研究 | 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ