コラム
2019/06/27
【コラム】筋トレをしなくても、割れたお腹が手に入る?!
「身長があるのに、腹囲85cm未満は無理!」
「子供のころからお腹は出ている。」
「お腹につけてブルブルする機械は、効果あるんですか?」
なんて声を耳にしませんか?
保健指導や減量指導に携わる管理栄養士・栄養士の皆様は、何かと「お腹」についての話題に触れる機会も多いと思います。
誰もが楽をして割れたお腹を手に入れたい!と思っているはずです。
そこで、「お腹につけてブルブルする機械=筋電気刺激(※以後EMSと表現)」について調べてみました。
①EMS(Electrical Muscle Stimulation)って何?
筋肉は、筋繊維が多数集まって構成されており、性質と見た目から大きく「速筋」と「遅筋」に分けられます。
その内、高強度の負荷を与えなければ刺激を受けにくいと言われている「速筋」に対して、電気刺激を与えることによりトレーニング効果を得る方法をEMSと言います。
②EMSの活用法
「速筋」は、筋萎縮が起こりやすい筋肉なので、入院患者や怪我などでトレーニングが出来なくなってしまったスポーツ選手など、医療やスポーツ分野で使われていました。
今では、「テレビを見ながら筋トレが出来る」と、メタボ対策やダイエット商品として多くの商品が出回っています。よく理論を理解しないで、使えば「割れたお腹が手に入る」と思い込み、使い方を間違えて、健康被害を起こすケースもあるようです。
以下のURLから、国民生活センターから発信された注意文を見る事が出来ます。
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20020924.pdf
③EMSに期待出来る事
あくまでも、筋萎縮予防を大きな目的とし、日常生活では刺激を与えにくい「速筋」に対して働きかけるものであり、簡単に割れたお腹を手に入れられるものではないことを、しっかりと理解しておく必要があります。
歩いたりジョギングしたり、有酸素運動は習慣に出来るけど、筋トレのような無酸素運動は苦手という方には、お勧めかもしれません。
また、筋トレを行っているけど、部分的にトレーニング効果が得られにくい部分に対して使うこともお勧めです。
指導時にこのような話題が出た場合は、「ぽっこりお腹を何とかしたいけど、キツイ事は自信がない」という心の声でもあることを、しっかり理解してあげましょう。
そして、使い方を間違えないように、また類似品もある事をご理解頂き、あくまでも運動習慣を維持した上で、補助的に使用するものであることをきちんと伝えてあげましょう。
管理栄養士・松岡 喜美子
≪参考資料≫
筋電気刺激(EMS)を利用した生活習慣病改善の可能性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmbe1987/16/11/16_11_35/_pdf