コラム
2019/06/20
【コラム】TPPによる食品の安全性への影響
今回はTPPによる食品の安全性についてお伝えします。
テレビや新聞で「TPPによる関税の撤廃」からメリットが多いイメージがついている方もいるのではないでしょうか。しかし、本当は「食品の安全性」が脅かされる懸念があるのも現状です。私たちができることは栄養指導の際に、食品を選択する基準をお伝えしていくことです。いつでも答えられるように情報を収集しておきましょう。
1. TPPとは
TPPとは輸入品にかけられる関税分野や非関税分野において環太平洋の国々で自由貿易のルールを作成することです。
このルールを作成することで、各国が自国の産業を守ろうと輸入品に過大な関税をかけて企業の事業に制限をかけるのを防止することができます。
2017年11月に11か国によるTPPにつき大筋合意に至り,2018年3月「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」が署名されました。2018年12月30日に発効しました。(出典元:外務省HP)
2. TPPによる食品に関するメリット・デメリット
それでは、TPPが発効されることによる食品への影響を見てみましょう。
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<メリット>
- 外国産の食品が安く手に入る
- 企業が海外進出しやすくなり
<デメリット>
- 日本の農業が縮小する可能性がある
- 食の安全性が脅かされる可能性がある
- 食料自給率が低下する可能性がある
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安い食品が手に入るようになる嬉しい反面、デメリットとして「食品の安全性」が脅かされる可能性があることが大きな影響となり得ます。
3. 食品の安全性における懸念点
次の点で規制緩和が生じ、食品の安全性確保が課題になってきます。
- 米国産輸入牛肉の規制緩和
- 食品添加物の認可拡大
- ポストハーベスト農薬の規制緩和
- 遺伝子組み換え食品の表示制度変更
TPPが発効された中で私たちができることは「どのように食品を選択するか」を伝えることとなります。
これは輸入品に限ったことではなく、国産品においても、栄養士として、誰もが正しい選択ができるような情報提供をしたいものです。
<健康的な体を維持するための選択基準>
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- 安すぎる外国産の食品は避ける
- 聞いたことのない食品添加物が記載されているものは避ける
- 同じ食品ばかりを食べ続けない
食品の安全性を確保した上で食事のバランスがとれると健康的な体で生活することができます。栄養指導の際には食事のバランスだけではなく食品の安全性についてお伝えしていきましょう。
管理栄養士・田中 美穂
≪参考資料≫
・外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/index.html
・TPPと食品安全性 農林中金総合研究所 清水徹郎
https://www.nochuri.co.jp/report/pdf/n1604re1.pdf
・TPPで激増する危ない食品! ―安心して「食べる」ための7カ条 石堂 徹生