コラム
2020/01/06
【コラム】食品表示法シリーズ② 新しい食品表示のルール「食品表示基準」について
食品表示法シリーズ①で「食品表示法」についてご紹介しました。
食品表示法は3つの法律の食品表示に関する部分をまとめて新しく作られた法律であること、そして新しいルールへの完全移行が迫っていることについて学びましたね。
今回は3回シリーズの2回目のコラムです。食品表示法が定める、新しい食品表示のルールを読み解いていきましょう。
食品表示法が定めるもの
この法律が定められたことにより、具体的な表示ルールである「食品表示基準」が策定されました。これにより「機能性表示食品」という新しい制度ができた他、アレルゲンの表示ルールが変わるなどしています。
ここでは「食品表示基準」を「新基準」、従来の3つの法律(食品衛生法、JAS法、健康増進法)によって定められていた古いルールを「旧基準」と呼びたいと思います。
新しい制度「機能性表示食品」
新基準により「機能性表示食品」が制定されました。こちらは既に流通しているものが多くあります。
機能性表示食品は「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)という食品の機能性を表示することができる食品です。事業者の責任において科学的根拠に基づいた機能性を表示することになっており、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、消費者庁長官の個別の許可を受けた「特定保健用食品」とは異なるため、注意が必要です。
旧基準からの大きな変更点
新基準はメーカー等の事業者に向けて正しい食品表示を行うよう定めているため、変更された項目が多岐に渡っています。今回は私たち消費者が裏面を正しく読み解くために最低限必要なポイントを抜粋してご紹介します。
- アレルゲンの表示方法
旧基準ではアレルゲン(特定原材料)が明らかに入っていると想定できる食品について、表示が義務ではありませんでした。(これを特定加工食品といいました)しかし、新基準ではアレルゲンを個別表示しなければならなくなりました。★焼うどん(小麦を含む)、マヨネーズ(卵を含む)、卵黄(卵を含む) 等
ただし、表示面積に限りがある等表示が困難な場合、例外的に原材料の直後にまとめてカッコ書きする「一括表示」を可能とします。★原材料名:焼うどん、マヨネーズ(一部に小麦・卵を含む)
- 食品と添加物を明確に分ける
原材料と添加物がどちらかわかるように、「添加物」の項目名を設けて表示するか、スラッシュで区切るなどして明確に区分して表示します。
その他に
- 製造者・製造所をわかりやすく示す
- 栄養成分表示の義務化・ナトリウム表記が「食塩相当量」に変更
- 栄養強調表示の方法
- 栄養機能食品のルールの変更
- 表示可能面積が小さい食品の表示方法
- 原材料の一番多い材料について原産地を表示※
※こちらは2017年に食品表示基準の一部を改正する形で事業者へ提示されたため、猶予期間は2022年3月31日までとなっています。
シリーズ③では、新しい食品表示を栄養指導・保健指導で生かすポイントを探っていきましょう。
管理栄養士 / 中級食品表示診断士・栗城智子
≪参考資料≫
消費者庁 食品表示法等(法令及び一元化情報)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
東京都福祉保健局 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_summary.html
東京都福祉保健局 食品衛生実務講習会(表示講習)教材
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/files/2016_leafret_0329.pdf
食品表示法シリーズ① 食品表示法ってどんな法律?