コラム
2019/11/25
【コラム】食品表示法シリーズ① 食品表示法ってどんな法律?
加工食品のパッケージの裏面をよく見てみると、原材料表示や栄養成分について表記が変わってきていることをご存知でしょうか。2020年4月、いよいよ食品表示は新しいルールへと完全移行されます。これから3回にわたるシリーズで、新しい食品表示についてご紹介します。
今回のテーマは「食品表示法」という法律についてです。
食品表示法とは
食品表示法は2015年4月1日に施行された法律です。
今まで食品表示は食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律によって定められ、非常に複雑になっていました。この3法の食品表示に係る規定を一元化し、事業者と消費者にとってわかりやすい制度を目指しているのが「食品表示法」です。担当の所轄は消費者庁となっています。
※東京都福祉保健局より引用
3つの法律について
ここで前述の3法について、おさらいしてみましょう。
- 食品衛生法:
食品の安全性確保のために、公衆衛生の見地から必要な規制等の措置を講ずることにより、
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって国民の健康の保護を図るための法律。所轄は厚生労働省。 - JAS法:
日本農林規格(JAS)とは、農林物資(飲食料品・農産物・林産物・畜産物・水産物)についての品質の基準と品質に関する表示の基準を内容とする全国統一の規格。これを定めているのが、「農林物資の規格化等に関する法律」であり“Japanese Agricultural Standard” 通称「JAS法」。所轄は農林水産省。 - 健康増進法:
国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、 国民の健康の増進を図るための措置を講じ、国民保健の向上を図るための法律。所轄は厚生労働省。
食品表示法の経過措置期間
2015年4月1日に食品表示法が施行されましたが、加工食品・添加物(共に一般用・業務用)に関して、2020年3月31日までは旧基準での表示が認められる経過措置期間となっています。言い換えれば、事業者は2020年4月1日からは確実に新基準に切り替えなければなりません。尚、経過措置期間中も旧基準と新基準の表示方法が混在する表示は原則認められていません。
新しい食品表示を読み解き、役立てよう
食品表示法が定められたことにより、具体的な表示ルールである「食品表示基準」が策定されました。
これにより新しい制度「機能性表示食品」が制定された他、アレルゲン等の表記ルールが変わるなどしています。この改正は、消費者がより正しく食品の情報を得るためにと実現しました。管理栄養士・栄養士が食品のプロとして知っておくべき情報であることはもちろんですが、今後は栄養指導・保健指導で役立てるツールの1つにもなることでしょう。
次回のコラムでは「食品表示基準」について読み解いていきたいと思います。
管理栄養士/中級食品表示診断士・栗城智子
≪参考資料≫
・消費者庁 食品表示法等(法令及び一元化情報)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
・東京都福祉保健局 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/shokuhyouhou_summary.html
・東京都福祉保健局 食品衛生実務講習会(表示講習)教材
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/hyouji/files/2016_leafret_0329.pdf
・厚生労働省 (食品衛生法の改正について)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html
・農林水産省 (JAS法とは)
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_gaiyou.html
・厚生労働省 (健康増進法の概要)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/12/dl/s1202-4g.pdf