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2022/10/27

【SDGs】代替食「昆虫食」に迫る!


現在、世界人口は79億人まで増加し、2030年には90億人に達すると予想されています。今、人口増や気候変動に伴う食糧危機に備え、代替食に注目が集まっています。
今回は、その一つである「昆虫食」に迫ってみたいと思います。

 

身近な昆虫食

「昆虫を食べる」と聞くと、抵抗を感じる人も多いのではないでしょうか?
日本国内で身近に食べられている昆虫食と言えば「いなご」と「はちの子」ですよね。
これらは、どちらも食品成分表(11群・肉類・その他)にその栄養価が掲載されています。

 

【比較!】肉 vs 昆虫食

代表的な高たんぱく食品である「牛肉・赤身」や「鶏むね肉」「鶏ささみ肉」の栄養価と比較してみましょう。

「いなご」や「はちの子缶詰」は、鉄や亜鉛も豊富ですね。
特にいなごは、肉に勝るたんぱく源ということが分かります。

その他、コオロギを使った食品も身近に見かけるようになりました。
コオロギせんべい、コオロギカレー、コオロギクッキー、コオロギラーメン、コオロギだしなど、食品の種類も豊富です。
これらは、コオロギをパウダー状にして食品に混ぜているものが中心です。
現在、コオロギの栄養価は食品成分表に掲載されていませんので、商品パッケージの栄養成分表示を参考にしましょう。

 

【SDGs】昆虫食の可能性

1. 健康に貢献

上述の通り、昆虫食は栄養価が高く、肉に劣らないたんぱく源になります。また、鉄や亜鉛のような微量栄養素も含んでいます。

世界では1,900種以上もの昆虫が食用として使用されており、それぞれの成長段階で栄養価は異なりますが、DHAやEPAで知られるω-3脂肪酸は、魚に匹敵すると言われています。
効率よく栄養を摂る食品としても、昆虫食は適していると考えられます。

 

2. 環境負荷が軽い

1kg体重を増やすために必要な飼料(kg)を「飼料変換率」と言います。
例えば、牛肉を1kg増やすためには、8kgの飼料を必要としますが、昆虫を1kg増やすためには、2kgの飼料で済みます。

このように、昆虫は「飼料変換率」が家畜と比べてもとても低い特徴があります。
さらに、その飼料は生活廃棄物(食材、排泄物など)を活用することが可能です。
家畜のように大量の水、土地を必要とせず、地球温暖化の要因となる温室効果ガス(Co₂やメタンなど)の排出量も抑えられます。

 

3. 生計向上と生活改善に貢献

昆虫の養殖業は、小規模でスタートしやすく、扱う器具、農具などは小さなものが多いので、女性や高齢者も容易に参加できます。

また、設備投資も少ないので、貧困層も参加しやすく、安定した雇用を生み出すことも可能です。
特に中央アフリカや東南アジアでは、昆虫の需要が高く、食用としてだけではなく、家畜のえさなどにも広く使われており、市場としての拡大が期待されています。

 

まとめ

日本では、昆虫食と言えば、パウダー状にしたりペースト状にしたりして、形状を変えて食品として販売されているものがほとんどですが、近い将来、当たり前のように食卓に昆虫が並べられている日が来ているかもしれません。

その栄養価や環境への配慮を考えると、「昆虫食」の可能性に、今後ますます期待が高まります。

 

管理栄養士・松岡 喜美子

 

<参考>

・Edible insects (fao.org)
 https://www.fao.org/3/i3253e/i3253e.pdf
・国際連合広報センター プレリリース 2019年7月2日
 https://www.unic.or.jp/news_press/info/33789/
・昆虫の食糧保障、暮らし そして環境への貢献
 https://www.fao.org/3/i3264it/i3264it.pdf




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