コラム
2022/11/24
乳酸菌とは?その効果と条件
現在、入手困難にもなっているヤクルト1000をはじめ、「乳酸菌」を含む食品や飲料は、うなぎ上りに増えています。
話題沸騰中の「乳酸菌」について2回にわたってご紹介します。
乳酸菌とは?
「乳酸菌」とは、ブドウ糖や乳糖を利用して多量の乳酸を作り出す細菌の総称です。
また、ヨーグルトなどによく見る「ビフィズス菌」は、形状や特徴の違いから、乳酸菌とは分けて考えられています。
乳酸菌の役割
乳酸菌は、私たちの身体にとって有益な菌であり「善玉菌」とも呼ばれています。
善玉菌は、腸内で「悪玉菌」の繁殖を防ぎ、腸内環境を整える働きがあります。便通の改善、悪玉(LDL)コレステロールの低下、免疫機能を高める、抗アレルギー、抗肥満、心血管疾患や2型糖尿病の発症リスク低減など様々な健康効果が期待されています。
また、最近では、ピロリ菌を排除するなど特徴的な機能をもつ乳酸菌も研究されています。
腸内の善玉菌を増やすプロバイオティクスとプレバイオティクス
「プロバイオティクス」は、‘’腸内環境を整えることによって、有益な作用をもたらす生きた善玉菌‘’を意味します。
「乳酸菌」は、代表的なプロバイオティクスの一つであり、上述の通り、多くの健康効果をもたらします。
一方、「プレバイオティクス」は、腸内にもともと存在する善玉菌を増やす作用のある食品成分のことを意味します。具体的には、「オリゴ糖」と「一部の食物繊維(ポリデキストロース、イヌリンなど)」があります。
これらは、消化・吸収されることなく大腸まで到達し、腸内にもともと存在する善玉菌の栄養源になり、腸内環境を整えます。
ショ糖をベースとしたオリゴ糖の一種である「フラクトオリゴ糖」は、代表的なプレバイオティクスであり、ビフィズス菌や乳酸菌の成長を促進します。野菜や果物の他、玉ねぎやニラ、にんにくなどに含まれます。
健康効果をもたらすためのプロバイオティクスの条件
効率的にプロバイオティクスをとる方法として、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの保健食品の利用があります。
プロバイオティクスが、私たちの身体の中で十分機能を発揮するためには、以下の条件が求められます。
- 安全性が十分に保証されていること
- もともと腸内フローラの一員であること
- 胃液や胆汁に耐えて腸内に到達すること
- 腸内に付着し、増殖できること
- 食品の形態を保ち、有効な菌数が維持されていること
- 安価で容易に取り扱えること
まとめ
健康のために毎日乳酸菌飲料を飲むことを習慣にしている人も多いと思います。実際に、乳酸菌が身体の中でどのような役割をしているのか、またその条件についてご紹介しました。
次回は、多様化する乳酸菌飲料についてご紹介します。
管理栄養士・松岡 喜美子
<参考>
●Maha A Khalil , Mostafa M El-Sheekh , Hala I El-Adawi , Nehal M El-Deeb , Mohamed Z Hussein .:Efficacy of microencapsulated lactic acid bacteria in Helicobacter pylori eradication therapy. J Res Med Sci. :2015 Oct.;20(10): 950–957.
●Harsh Mathur,Tom P. Beresford, and Paul D. Cotter:Health Benefits of Lacctic Acid Bacteria(LAB) Fermentates. Nutrients. 2020 Jun; 12(6): 1679.
●厚生労働省 e-ヘルスネット 乳酸菌
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-026.html
●一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会発酵乳乳酸菌飲料公正取引協議会HP
・乳酸菌とビフィズス菌の一般特性
https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/Nyusankin_492_a.pdf
・プロバイオティクスとしての乳酸菌とビフィズス菌
https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/Nyusankin_494_a.pdf