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2022/07/28

【注目】フードテック ~完全栄養食品に迫る~


最近、これまでの常識を覆すような食品が次から次へと誕生しています。
大豆ミートを始めとしたプラントベースの食品や長時間溶けないアイスクリーム、栄養バランスが整った完全栄養食品など、ジャンルも様々です。
このような食品を作る技術を「フードテック」といい、これからますます拡がっていくとされています。
今回は、この内の「完全栄養食品」に迫ってご紹介します。

 

完全栄養食品とは?

「完全栄養食品」とは、健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ食品をいいます。
私たちがこれまで耳にしてきた「完全栄養食品」といえば、「卵」ですよね。
卵は確かに、必要な栄養素がバランスよく含まれていて優秀な食品ですが、「ビタミンC」と「クロム」、「食物繊維」は含まれていません。
最近話題の「完全栄養食品」には、日本人の食事摂取基準に定められている33種類の栄養素が全て含まれています。

 

サプリメントとの違いは?

栄養を補う食品としてサプリメントなどの健康食品がありますが、これは、食事だけでは必要量摂れない栄養素を補うものであり、食事を基本としています。
それに対し、完全栄養食品は、食事として置き換えることで、必要とされる栄養素が全て補えるものです。
どちらも栄養を補うために摂り入れますが、補助的に摂り入れるのか食事として摂り入れるのかといった点が違っています。
また、完全栄養食品は、不足しがちな栄養素は補い、過剰になりやすい栄養素は控えめにできる点も持ち合わせています。

 

33種類の栄養素とは?

 

上記の栄養素は、日本人の食事摂取基準で基準値が策定されている栄養素です。
脂質の「飽和脂肪酸」は、過剰摂取による健康への影響が懸念されるため、食事摂取基準ではエネルギー比率10%以下と設定されています。
また、ミネラルの「ナトリウム」は、2.54を乗じることで食塩相当量が算出できます。
塩分の過剰摂取によるむくみや高血圧等の予防を目的として、食事摂取基準では、18歳以上の男性は7.5g/日未満、女性6.5g/日未満(食塩相当量として)と設定されています。

完全栄養食品には、具体的な定義がなく、どのような基準値に対してどんな栄養素がどれくらい含まれているのかについては、食品により様々です。
飽和脂肪酸や食塩相当量のように控えたい栄養素は控えめにしてあるものや、食事摂取基準を基に設定されている「栄養素等表示基準値」を基準に「1食分で1日の1/3が摂れる」と表示しているものもあります。
気になる食品があれば含まれる栄養素をチェックしてみましょう!

 

33種類の栄養素を満たせば健康になれるのか

完全栄養食品には、「日本人の食事摂取基準」で策定された栄養素に対して摂取できる量が分かりやすく表示されています。
もちろん、基準を目安にバランスよく摂ることは大切ですが、基準値の意味を知っておくことも大切です。

「日本人の食事摂取基準」には、
‘健康な個人及び集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準を示すもの’
と記されています。

設定されている指標は5通りあります。

  • 推定平均必要量(EAR):摂取不足の回避を目的として、半数の者が必要量を満たす量
  • 推奨量(RDA):ほとんどの者が充足している量
  • 目安量(AI):十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合、
    一定の栄養状態を維持するのに十分な量
  • 耐用上限量(UL):過剰摂取による健康障害の回避を目的として設定されている量
    ※十分な科学的根拠が得られない栄養素については設定されていない。
  • 目標量(DG):生活習慣病の発症予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

これらの基準は、個人が目指すべき1日当たりの栄養素等摂取量を示すものではなく、あくまでも参考にできる量として捉える必要があります。

 

まとめ

健康によい食事がどんなものなのか分かっていても理想通りに実行できない時の救世主として誕生した「完全栄養食品」。
身体にとって必要な栄養素を全て含んでいて美味しいなんて夢のようですね。
栄養バランスが整っていて便利で美味しいとついそればかりになりがちですが、目安となっている栄養素がどんなものなのかを知り、体重や体調など自分の身体と向き合うことを忘れないようにしましょう!

 

管理栄養士・松岡 喜美子

<参考>
・厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版) スライド集について
 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09411.html
・栄養素など表示基準値の改定に関する調査事業報告書
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2019/pdf/food_labeling_cms206_200424_01.pdf




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