コラム
2022/06/23
ローカロリー食品について学ぶ
2020年12月に食品成分表2020(八訂)が公表されてから、移行期間としてしばらく食品成分表2015(七訂)が併用されていましたが、徐々に、食品成分表2020(八訂)が本格的に導入されている場面を見る機会が増えてきました。
ダイエット中の強い味方となるローカロリー食品ですが「ほとんどカロリーがない食品」と考えている人も少なくないのではないでしょうか?
八訂成分表では、エネルギーの算出方法が変更され、全体的にはエネルギーは減少傾向ですが、ローカロリー食品は、増加傾向です。
今回は、そんなローカロリー食品のエネルギー(kcal)についてご紹介します。
ローカロリー食品クイズ
代表的なローカロリー食品である下の3つの食品を可食部100g当たりのエネルギー(kcal)が低いものから順番に並べてみましょう。
- A:板こんにゃく
- B:しめじ(生)
- C:絹ごし豆腐
答え:A(5kcal)→B(26kcal)→C(56kcal)
※食品成分表2020(八訂)
【エネルギーを比較!成分表2015(七訂)→成分表2020(八訂)】
ローカロリー食品はエネルギーが増加傾向
食品成分表2020(八訂)では、国際的な機関であるFAO/INFOODSの推奨する基準に合わせてエネルギーの計算方法が大きく変更されました。それにより各食品のエネルギーも変わっています。
こんにゃく、きのこ、海藻のようなローカロリー食品は全体的に増加傾向です。これらの食品は体内でのエネルギー利用率の個人差が大きく、過去にはエネルギーは算出されていませんでした。
五訂成分表以降、エネルギーが算出されるようになりましたが、あくまでも目安として、Atwater係数を適用して求めた値に0.5を乗じて算出されていました。
食品成分表2020(八訂)からは、炭水化物や食物繊維など各成分のエネルギー換算係数を用いて、より確からしいエネルギーとして算出されています。
食物繊維のエネルギー
一般的にローカロリー食品には「食物繊維」が多く含まれています。食物繊維のエネルギーは、1g当たり0~2kcalと低いです。
また、食物繊維のエネルギーは、糖質やたんぱく質、脂質のように活動時のエネルギー源にはならず、腸内で発酵する際に使われます。
- 大腸に到達して完全に発酵する食物繊維は2kcal/g
- 発酵分解を受けない食物繊維は0kcal/g
- 発酵分解率が明らかなものは、それにより0~2kcal/g
このような腸内でエネルギーを産生する食物繊維は「発酵性食物繊維」と言われ、腸内環境を整えるほか、脂肪の合成を抑制するなどの健康効果が注目されています。
ローカロリー食品を使った簡単レシピ
まとめ
こんにゃくやきのこのようなローカロリー食品には、食物繊維が豊富に含まれているものが多く、エネルギー(kcal)を控えるだけでなく、腸内環境を整えたり、満足感を得やすくする働きもあります。食物繊維のエネルギー(kcal)は、腸内で発酵する際に使われるので、体内で脂肪に変わることはありません。
食物繊維を多く含むローカロリー食品は、成分表2020(八訂)以降、エネルギーが増加傾向です。気になる方は調べてみましょう。
管理栄養士・松岡 喜美子
<参考>
・消費者庁 難消化性糖質及び食物繊維のエネルギー換算係数の見直し等に関する調査・検証事業報告書
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2019/pdf/food_labeling_cms206_200424_02-2.pdf
・文部科学省 第18回食品成分委員会 組成に基づく成分値を基礎としたエネルギー値の算出について
https://www.mext.go.jp/content/1422931_003_1422931_03.pdf