コラム
2021/08/12
知っておきたい!たばこが吸いたくなる理由
望まない受動喫煙を防止することを目的に、健康増進法の一部が改正され、2020年4月より施行されています。これにより、喫煙場所が大きく制限されるようになりました。
喫煙者の方にとっては、「禁煙」に取り組むきっかけになった人もいれば、我慢する機会が増え、付き合い方を模索している人もいるのではないでしょうか。
今回は、たばこの基礎知識から吸いたくなる理由についてご紹介していきます。
たばこの種類
・紙巻たばこ
細かく刻んだたばこ葉を紙で巻いたもっとも身近なたばこです。
・葉巻たばこ
たばこの葉をたばこの葉で巻いたもの。
・加熱式たばこ
たばこ葉やその加工品を加熱して発生させたニコチンを吸って使います。
・電子たばこ
香料などを含む溶液を加熱し、蒸気を吸うもの。日本では、ニコチンを含む電子たばこは発売されていません。
・パイプ・キセル
パイプにたばこの葉を詰めて吸うもの。
・無煙たばこ
粉末を吸う「嗅ぎたばこ」やたばこの葉を練りこんだガムを噛む「噛みたばこ」などがあり、
加熱することなく使用します。
・水たばこ
水パイプという喫煙具を使用し、たばこの煙を水にくぐらせて吸い、まわしのみなどに使用します。
中東、東欧で用いられています。
たばこはこうやって作られる
1.たばこ葉の栽培(1月~6月)
たばこ葉は、ナス科タバコ属の熱帯地方原産の植物です。
この葉に「ニコチン」が含まれています。
日本では、「黄色種」「バーレー種」「在来種」の3種類が栽培されています。
2.収穫→乾燥(6月~9月)
収穫された葉は、品種にあった方法で乾燥します。
3.製造
除骨(葉脈と葉肉を分ける)→熟成→ブレンド→裁刻→巻上→包装
たばこはなぜ吸いたくなるのか
■ニコチン依存
たばこが吸いたくなる多くは「ニコチン依存」によるものです。
たばこを吸うと、たばこの有害成分の一つである「ニコチン」が、急速に肺から取り込まれ、脳内の「ニコチン受容体」と結合します。すると、脳の側坐核から大量のドーパミンが分泌されます。
「ドーパミン」は、快楽や幸福感を得たり、やる気や意欲を作ったりするホルモンなので、たばこを吸うと「落ち着く、リラックスする」感覚が得られます。
ニコチンは、食欲を抑制する「ノルエピネフリン」や「セロトニン」、記憶力や集中力を向上させる「アセチルコリン」の調節にも関わっています。そのため、喫煙習慣によりニコチンを定期的に摂るようになると、これらのホルモンを自力で調節する力がなくなり、ニコチンに依存するようになっていきます。
すると、体内のニコチンが少なくなるとイライラやストレスを感じ、「たばこを吸いたい!」と感じやすくなってしまうのです。
■心理的依存
コーヒーを飲みながら一服したり、同じ時間に休憩がてら喫煙所に足を運んだり、決まった場面での喫煙が習慣になる場合もあります。一度禁煙をしてみたものの、「周囲の人が吸うから」「もらいたばこを断れない」「飲酒すると吸いたくなる」「ストレスを感じると吸いたくなる」などの心理的な要因で、喫煙習慣が戻ってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。
禁煙をする場合、このような心理的要因につながる環境になるべく身を置かないことが必要です。
まとめ
健康増進法の改正により、喫煙場所が大きく制限されつつある中、喫煙者への理解も必要です。これまでは、紙巻たばこが最も身近でしたが、最近では副流煙を意識した電子たばこや加熱式たばこを愛用する人も増えています。
次回は、電子タバコと加熱式たばこの違いとたばこの害についてご紹介します。
<参考>
一般社団法人 日本循環器学会 禁煙推進委員会
http://j-circ.or.jp/kinen/iryokankei/izonsyo.htm
日本医師会 禁煙の医学
禁煙の医学 | 禁煙は愛 | 禁煙推進Webサイト (med.or.jp)