コラム
2021/07/15
知っておきたい!お酒との上手な付き合い方
「お酒を飲む」目的は、人それぞれだと思いますが、付き合い方を知り、上手に楽しめるのが理想ですよね。
今回は、お酒を飲んだ後、身体の中でどのように分解されるのかを知り、上手に付き合うためのコツをご紹介します。
アルコールはこうして分解される
上記の過程で、1gのアルコールを分解するのに、7kcalが産生します。
「エンプティカロリー」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、アルコール自体のカロリーは、アルコールを分解する際に全て使われ、「残りにくい」という意味でこのような表現が使われています。
しかし、肝臓で作られた「酢酸」は、アルコールが「炭酸ガスと水」へ分解される過程の中で「アセチルCoA」という物質を生成します。
この「アセチルCoA」が中性脂肪合成の原料となるため、過度の飲酒習慣がある人は、内臓脂肪がつき、ぽっこりお腹になりやすくなります。
体重は、若い頃からあまり変わっていないのに、過度の飲酒習慣があると、お腹だけがぽっこりするのは、このためです。
なぜ酔いがまわるのか
「酔い」の程度は、血中アルコール濃度に依存します。
アルコールの吸収は非常に早く、飲酒後、30分~2時間後にピークが現れ、速やかに分解されます。分解速度は、個人差が大きく、平均値は、男性1時間に9g、女性6.5g程度と言われています。
「節度ある飲酒量:純アルコール量20g(1ドリンク)」を分解するために、平均で、男性:2.2時間、女性:3時間かかります。
飲酒速度が早ければ早いほど、飲酒量が多ければ多いほど、血中アルコール濃度は上昇しやすくなります。
上手にお酒を楽しむ3つのコツ
1. 一気飲みは控える
上述からも、アルコールの吸収は非常に早く、速やかに血中アルコール濃度は上昇します。
一気飲みをすると、肝臓での分解が追いつかず、血中アルコール濃度が急上昇し、危険な状態になることがあります。
最初の1本、1杯は、一気飲みになりやすいため、ノンアルコールや炭酸水で紛らわせましょう。
2. チャンポンしない
多量飲酒につながりやすい飲み方です。飲んだ量を把握しにくいため、適量を守ることが難しくなります。
その日の料理に合わせて、楽しむお酒を選びましょう。
3. 空腹で飲まない
アルコールには、胃液の分泌を促して食欲を増進させる効果があります。
食前酒のように、少量であれば、これがよい効果になるのですが、空腹状態でお酒を大量に飲むと、過剰に胃液が分泌され、粘膜を傷つけ、胃炎や逆流性食道炎の原因になります。
また、アルコールの分解に、多くの栄養素を消耗し、新型栄養失調の原因にもなりかねません。栄養不足にならないためにも、おつまみと一緒に楽しみましょう。
<管理栄養士推奨!おつまみ2選>
●豆腐チャンプルー
(材料)
豚肉細切れ、もめん豆腐、卵、ししとうがらし、塩、こしょう、かつおぶし
(作り方)
- 豆腐は水切りをしておく
- 溶き卵をフライパンでさっと炒め、取り出す
- 同じフライパンで豚肉→ししとうがらし→豆腐(1口大にちぎりながら入れる)の順に炒め、取り出しておいた卵をフライパンに戻して、さらに炒める
- 塩、こしょうで味付けし、火を止めてかつおぶしをふりかけて出来上がり
★おすすめポイント★
アルコール分解時に大量に消耗するビタミンB₁(豚肉)や肝機能を助けるアミノ酸(豆腐、かつおぶし、卵)が1品で摂れます。
●かつおのたたきサラダ
(材料)
かつおのタタキ、好みの野菜(ベビーリーフ、赤・黄パプリカなど)、ポン酢または好みのドレッシング
(作り方)
- さっと洗ってしっかりと水切りした野菜(必要に応じて食べやすい大きさに切る)とかつおのタタキを合わせ、ポン酢または好みのドレッシングで和える
★おすすめポイント★
アミノ酸の中でも積極的に摂りたいロイシン(かつおのタタキ)とアルコールの分解時に不足しがちなビタミン(野菜)がバランスよく摂れます。
まとめ
適量の飲酒は、健康によい面もありますが、飲みすぎると、胃炎やがん、肝硬変のリスクを高めます。
飲み始めて楽しくなると、身体の中でどんな変化が起こっているのかなんて後回しになってしまいがちですが、たてばふらつく状態までになると、血中アルコール濃度は、0.1%以上になっています。さらに飲み続け、0.4%以上になると急性アルコール中毒になる可能性もあります。
また、アルコールの分解にはビタミンB₁を始め、多くの栄養素を消耗します。
適量の飲酒を心がけることはもちろん、飲み方やおつまみを工夫し、飲酒機会の増える夏本番も、アルコールと上手に付き合いましょう!
管理栄養士・松岡 喜美子
★新型栄養失調についてはこちらから♪
≪参考≫
・e-ヘルスネット
アルコール酩酊 | e-ヘルスネット(厚生労働省)