コラム
2021/06/10
【管理栄養士が調べてみた】ノンアルコールビール最新情報とその楽しみ方
長引くコロナ禍で自粛が続く中、自宅で飲酒する「宅飲み」が増えています。
自宅でもお店のような生ビールが楽しめる商品も多く出回るようになりました。
「宅飲み」では、帰りの電車を気にしなくてよい気楽さから、量を気にせず、つい飲みすぎてしまうなんてこともあるのではないでしょうか?
今回は、そんな飲酒習慣のある方にとって救世主となる「ノンアルコールビール」について、大手ビールメーカー4社の商品を参考にしてまとめました。
【分類】ノンアルコールビールの特徴
現在、販売されているノンアルコールビールの特徴は以下の4通りです。
どれも、名称は「炭酸飲料」として販売されています。
1. 本物のビールに近い製法で作られている商品
A社商品:エネルギー:0kcal、糖質:0g、人工甘味料:使用
K社商品:エネルギー:9kcal 、糖質:2~2.1g、人工甘味料:不使用
S社商品:エネルギー:12kcal、糖質:2.9g、人工甘味料:不使用
2. 「カロリー、糖質、プリン体ゼロ」の商品
人工甘味料を使用しているものが多いですが、中には、ステビアという甘味料を使い、「人工甘味料ゼロ」のものも出ています。
3. 機能性表示食品としての商品
4. コラーゲン含有の商品
機能性表示食品のノンアルコールビール4社比較
お茶などの飲料を中心に、商品数も増えてすっかりおなじみになった機能性表示食品。「機能性表示食品」と書かれているノンアルコールビールも見かけますよね。
現在、各社1商品ずつ(4種類)販売されている機能性表示食品のノンアルコールビールを比較します。
商品A:「食後の血中中性脂肪の上昇を穏やかにする」
機能性成分:難消化性デキストリン
効果:食物繊維の一種である難消化性デキストリンは、食事から摂取する脂肪の吸収を抑えて排出を増加する効果が期待できます。
対象:脂肪の多い食事を摂りがちな方、血中中性脂肪が気になる方
商品B:「お腹周りの脂肪を減らす」
機能性成分:熟成ホップ由来苦味酸
効果:ビールの原料であるホップを熟成させて作られます。脂肪燃焼させる褐色脂肪細胞を活性化する効果が期待できます。
対象:肥満傾向の方
商品C:「内臓脂肪を減らす」
機能性成分:ローズヒップ由来ティリロサイド
効果:ローズヒップ由来ティリロサイドは、ローズヒップに含まれるポリフェノールの一つであり、内臓脂肪面積の減少が期待できます。
対象:BMIが高めで内臓脂肪が気になる方
商品D:「尿酸値を下げる」
機能性成分:アンセリン50㎎
効果:アンセリンとは、遊泳能力の高いマグロ、カツオなどに多く含まれるペプチドで、尿酸値低減効果が期待できます。
対象:血清尿酸値が健常域で高め(5.5~7.0㎎/dl)の方
どの商品にも「多量に摂取して効果が高まるものではありません。食事を基本とし、1日1本を目安に」と書かれています。
ノンアルコールビールの楽しみ方
★最初の1本をノンアルコールビールにする★
現場作業をした後、ジムでトレーニングして汗をかいた後、夏の暑い日と、帰宅後のビールが止められないという方も多いと思います。
とっても美味しいのですが、最初の1本、1杯は、あっという間に飲み終えていませんか?
水分補給のようにビールを飲んでいると、アルコール摂取過剰で肝機能を悪化させたり、尿酸値を上げて痛風になったり、内臓脂肪がついて健康診断で異常値が出たり、と健康を害します。
節度ある飲酒量をビールに換算すると500ml程度と言われています。500ml缶をあっという間に飲み終えてしまうと、その後の飲酒は、すでに過剰分となってしまいます。
最初の1本をノンアルコールビールに変えてみるのもおすすめです。
★休肝日はノンアルコールビールで雰囲気を楽しむ★
休肝日を週に連続2日以上作ったほうがいいのは分かっていても、ついつい、先延ばしにしていませんか?
そんな時にもノンアルコールビールは、強い味方です。
よりビールの味に近い商品もあれば、機能性が期待できる商品、カロリーや糖質ゼロの商品と、目的に合わせて選ぶこともおすすめです。
まとめ
種類も豊富になったノンアルコールビール。実際の指導現場でも、「ノンアルコールビールの種類が豊富になったので、選ぶもの楽しくて、無理なく休肝日が作れています」なんて声も聞きます。
一方、ノンアルコールビールだからと安心して、たくさん飲むと、人工甘味料や添加物、機能性成分の摂取過剰にもつながりかねません。
「お酒を減らす」「休肝日を作る」と指導することは簡単ですが、実行が難しいところ。実行してもらえなければ、効果も得られません。
代替えとなるノンアルコールビールについても種類、特徴を把握し、対象者に合ったものを提案できるといいですね。
管理栄養士・松岡 喜美子