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2020/08/20

【管理栄養士が伝えるvol.2】災害時の栄養と備えの豆知識


近年、地球温暖化が進み、豪雨などの自然災害の影響が大きくなりつつあります。
私たちの身近なところでも災害は起こっており、いざというときの備えの大切さを痛感します。
自らの身を危険から守る準備も大切ですが、管理栄養士・栄養士として、今後、災害現場で支援する機会もあるかもしれません。

今回は、災害時に優先して摂りたい栄養素や準備しておきたい食材などについてのアンケート結果をご紹介します。

 

★管理栄養士・栄養士に聞いた【緊急時に優先して摂取したい栄養素は何ですか?】

 

圧倒的に多かったのが「炭水化物」です。
「炭水化物」は、主にエネルギー源となります。一般的に、発災から3日目までは、水とエネルギーの確保が大切と言われています。
その点から考えても、緊急時に最も優先して摂るべき栄養素として「炭水化物」という回答が多かったのは、納得がいきますね。

2番目に回答が多かったのは「たんぱく質」でした。
発災から4日目からは、食事の質を考えていくことも重要になります。
東日本大震災S市における食事供給調査によると、避難所では、肉や乳製品などのたんぱく質が特に不足するという結果が得られています。
その点からみても、2番目に「たんぱく質」という回答が得られたことは、現状の課題からみてもまさにその通りと言えるでしょう。

 

★管理栄養士・栄養士に聞いた【Q1で選んだ栄養素を摂取するために備蓄している(したい)食材(レトルト、缶詰等)は何ですか?】

第1位:米、パン、麺

米は、精米、無洗米、パックご飯のほか、水かお湯を注ぐだけで柔らかいご飯になるα(アルファ)米などがあります。パンの場合、日持ちする缶詰パンや乾パンが備蓄食品としてはおすすめです。麺であれば、そうめんやうどん、パスタなどの乾麺の他、即席麺やカップ麺もあると便利です。
その他、「炭水化物」を摂取できる備蓄食品として、もち、小麦粉、ホットケーキミックス、米粉などもあります。

 

第2位:菓子、栄養補助食品

日持ちして、手軽に食べられるメリットがあります。
特に、栄養補助食品であれば、災害時に不足しがちなビタミンやミネラルなどの栄養素も同時に摂れる点も備蓄食品に適しています。

 

第3位:飲料水

水は、生命の維持にかかせないものであり、1人当たり1日3Lの備蓄が必要と言われています。
中でも保存水と言われるミネラルウォーターは、保存期間が5年~10年と長く、備蓄用として最適です。

 

★管理栄養士・栄養士に聞いた【備蓄食材で緊急事態ならではの活用法は?】

<食材>

  • インスタントラーメンは、水を入れて30分放置すればお湯がなくても食べられる
  • お餅は、接着剤にもなる
  • 酢、酒、梅干しは、食用のほか殺菌効果もあり
  • こんにゃくは、食用のほか、冷シップや温シップにも代用可
  • 生卵の薄皮は、絆創膏代わりになる
  • 無洗米は、洗わず食べられる
  • 缶は、鍋代わりになる
  • 高野豆腐は、スポンジの代用可
  • 調理済みの料理をジッパー付き保存袋に入れて冷凍し、解凍すれば火を使わずそのまま食べられ、袋から食べればお皿も不要
  • ツナ缶やサバ缶などは、缶のフタごと直火での調理が出来る為、皿等を使わなくてもそのまま調理の後に食べられて、食器や洗い物要らず

<飲料>

  • トマトジュースや牛乳、豆乳は飲用のほか、調理時の水分代わりになる
  • ペットボトル飲料は、懐中電灯等の光を明るくできる
  • 茶葉は、お茶で飲んだ後、燻すと蚊除けになる
  • 飲料水は、飲む以外にも手を洗う、トイレを流すなど衛生面にも利用できるため多めに備蓄している
  • 野菜ジュースは、微量ながらビタミン類が摂取できる

まとめ

身近に起こりうる災害に備え、日ごろから備蓄食品や飲料水を用意しておくことが大切です。
上記のような、備蓄食品を多めに買い置きしておき、賞味期限の早いものから消費して買い足す習慣を持つと、無駄がありません。
備蓄の目安は、「人数×最低3日分(※理想は1週間分)」と言われています。
管理栄養士・栄養士として、災害現場で専門的役割を担えるよう、また、自分や家族を守る為にも準備しておきたいですね。

管理栄養士・松岡 喜美子

 

<参考>
厚生労働省 大規模災害時に備えた栄養に配慮した食料備蓄量の算出のための簡易シミュレーター
https://www.mhlw.go.jp/content/000622993.pdf

災害・被災地における栄養・食生活
https://www.nyusankin.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/01/Nyusankin_507_b.pdf

国際災害栄養研究室
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/disasternutrition/info_saigai.html

農林水産省 災害時にそなえた食品ストックガイド
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/foodstock/guidebook.html#01




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