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2020/07/16

【管理栄養士が調べてみた】「食中毒」について


本格的に暑くなってきましたね。この時期になると、管理栄養士・栄養士の皆さんはご家庭の調理時にも「早く冷まさなくては!」「お弁当の保冷剤は足りるかな?」など不安に思う方も少なくないのではないでしょうか。

さて、新型コロナウイルス感染症が未だに猛威を振るっており、厚生労働省が公表した「新しい生活様式」の食事の項目には「持ち帰りや出前、デリバリーも」との記載があります。

その一方で各自治体の保健所は消費者に対しホームページで「食中毒を防ぐため、テイクアウトやデリバリーした料理は速やかに食べるように」との注意喚起を促すところも増えてきました。
今回は食中毒というテーマについて改めて学ぶ機会にしてきましょう。

 

食中毒の意味について

食品に起因する下痢、腹痛、発熱、嘔吐などの症状の総称を指します。

梅雨時期(5月~6月)と夏(7月~9月)は湿度や気温が高く細菌が増えやすいので、細菌性の食中毒の発生件数が増加しています。冬(12月~3月)は、ノロウイルスなどのウイルス性の食中毒の発生が見られます。また、春や秋には、他の時期に比べて、自然毒による食中毒が多く発生します。

このように、食中毒は年間を通して発生していることがわかります。

 

食中毒の原因

食中毒の原因とそれぞれの代表的な病因物質をまとめます。

  • 微生物

・ 細菌 : サルモネラ属菌、ぶどう球菌、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ 等
・ ウイルス : ノロウイルス 等

  • 自然毒

・植物性:毒キノコの毒成分、バレイショ芽毒成分(ソラニン) 等
・動物性:フグ毒、シガテラ毒、貝毒 等

  • その他

寄生虫:魚介類に寄生するクドア、アニサキス 等
化学物質:食品や原料に本来含まれない有害化学物質(重金属やカビ類、有害食品添加物 等)

令和元年(1~12月)に発生した食中毒の発生原因は、約4割が細菌、約5割がウイルスだったそうです。
このため、飲食店に限らず家庭においても、主な原因である細菌やウイルスによる食中毒の防止対策をきちんとすることが重要です。

 

微生物性の感染症についての補足

微生物のノロウイルスやO157などは、食中毒の原因になることがありますが、それらに感染したからといって必ずしも食中毒とよばれるわけではありません。
なぜなら、ノロウイルスは感染者の嘔吐物や便などから、O157は感染者の便や保菌牛等から、食品を経由することなく、直接ヒトに感染することがあるからです。この場合は食品を経由しないため、食中毒とは言いません。

 

嘔吐物処理キットについて

筆者には小さい子どもがいますが、幸いまだ激しい嘔吐をしたことはありません。しかし子どもが家で嘔吐した場合、処理をするにあたってうろたえてしまうのが目に見えています。またあちこち衛生用品を探して嘔吐した場所とキッチンを行き来するのは不衛生だと思っていました。

よっていつ家族が嘔吐をしてもすぐに対処できるように、各自治体の保健所から飲食店向けに提供されている情報を元に家庭用の「嘔吐物処理キット」を作成してみました。

インターネットでは完成されたキットも販売されていますが、簡単に手に入るものばかりで構成されているのでよろしければ参考にしてみてください。全て100円ショップで購入できます。

 

 

【キット内容】

  • 専用ボックス
  • 消毒液希釈用の空の500mlペットボトル(希釈後に家族が誤って飲んだりペットボトルを再利用しないよう、事前に「消毒用」「キケン」などわかりやすい文言をマスキングテープに書いておくと安心です)
  • アームカバー
  • 大きめのごみ袋(使用時は二重にする)
  • ビニール手袋(片手2枚ずつ装着する)
  • マスク
  • ビニールエプロン
  • 新聞紙やキッチンペーパーなどの嘔吐物を覆ったり、拭けるもの

※今回はフットカバーを用意していませんが、あれば更に良いと思います。

 

これらを事前にセットしておき、キッチンで次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を作り、処理に取り掛かる動線をイメージしています。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液は熱や光によって分解が進み殺菌力が低下するため、その都度作るようにしてください。

嘔吐物処理方法については保健所や各洗剤メーカーから詳しいイラスト付きの資料が多く出ていますので参考にしてみてください。

 

過去のコラムに次亜塩素酸ナトリウム水溶液に関する情報もありますので、こちらもどうぞ。

https://nutriworks.jp/post/columns/330

 

まとめ

今回は食中毒の情報と嘔吐物処理キットについてまとめました。

新型コロナ感染症の流行により、今まで以上に人々が衛生管理に着目しています。衛生管理のプロである管理栄養士・栄養士は聞かれる機会も多いかと思います。
皆さまにとって、今後も簡潔でわかりやすい情報の提供を目指していきます。

 

管理栄養士・中級食品表示診断士 栗城智子

 

《参考資料》

・厚生労働省「新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

・厚生労働省「食中毒」
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/index.html

・農林水産省「食中毒が多い季節は?」
 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/statistics.html

・農林水産省 消費・安全局 消費・安全政策課「食中毒ってなあに?」
 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/training/pdf/081225a.pdf

・「食品の安全と衛生」 安田和夫/編著 樹村房/発行 42~45ページ




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